「戸後鉄道3000形電車」の版間の差分
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|1974年 | |||
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=== 3128編成 === | |||
1974年に3020形3128編成として、戸後鉄道初のアルミニウム合金車体試作車が登場した。3000形の中でもアルミ車体は3128および3028のみを製造しており、他の普通鋼製車両と連結されて活躍する。続く傾山電鉄による3000形増備車での本採用には至らなかったが、この車両を基にして後の[[東賀4000系電車|東賀4000系]]・[[戸後鉄道1000形電車|1210系]]がアルミ製の車体で製造された。車体重量は軽量性に優れるアルミ素材を用いた結果、普通鋼製の3000形に比べて約4.5tの軽量化実現に成功する。銀色のみでは風景と同化し易いため、目立つ色を配置して車両接近時における視覚伝達の機能を兼ね備えたデザインとする。屋根上のベンチレーターも、他の車両で搭載したグローブ型とは異なってガーランド型を採用している。 | |||
{| class="wikitable" style="text-align:center;" | |||
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| colspan="2" |{{TrainDirection|駅名1=傾山|駅名2=西結|注釈=}} | |||
| rowspan="4" style="font-weight:bold; background-color:#EAECF0; color:#202122;" |落成年 | |||
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|1974年 | |||
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=== 量産車(傾山電鉄生産分) === | |||
戸後鉄道分社化後、継承先の傾山電鉄で引き続き製造されたグループである。張り上げ屋根を採用せずに普通車体で製造され、残存していた1000形を置き換えた。 | |||
分社化により戸後鉄道車両部が改組されたことから、全車[[春乃町車両]]の鉢崎工場での製造となっている。 | |||
3151編成以降は3020形との重複を避けるため飛び番号として50番台が付与されているが、仕様上の差異はない。 | |||
1980年製の3153編成・3155編成は、製造時から新塗装を纏っている。 | |||
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| colspan="3" |{{TrainDirection|駅名1=傾山|駅名2=西結|注釈=}} | |||
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|3010 | |||
| rowspan="2" |1977年 | |||
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|1978年 | |||
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== 運用 == | |||
新製当初は諸木ケ原検車区に配置され、傾山線で運用されたが、3020形登場以降は一部の1000形を置き換え宮田線でも営業を開始した。 | |||
1976年4月の戸後鉄道分社化時には全車が[[東賀鉄道]]・[[傾山電鉄]]に承継されたが、当初は傾山電鉄のみに継承される予定であった。同年1月に東賀鉄道の設立が決定し[[鉢崎検車区]]が設置されると、3月31日付けで東賀鉄道継承車は同区へ転属した。 | |||
== 脚注 == | == 脚注 == |
2024年5月2日 (木) 10:34時点における最新版
戸後鉄道3000系電車(とごてつどう3000けいでんしゃ)は、1965年(昭和40年)から戸後鉄道および傾山電鉄が導入した通勤形電車である。1976年の戸後鉄道分社化に伴い東賀鉄道と傾山電鉄に継承された。
本項では、特記のない限り、各種文献に倣い、傾山線上で南側を「傾山寄り」または「傾山方」、北側を「西結寄り」または「西結方」と表記する。編成番号は傾山方先頭車の車両番号で表記する。また、「3000形」は本形式、「1000形」「2000形」は1952年の戸後鉄道一斉改番に伴って誕生した1000形・2000形、「4000系」は1977年登場の東賀4000系を指すものとする。文中の編成表では原則左側を傾山方とするが、東賀鉄道に承継された編成では公式表記に則って左側を瀬伏・春乃町方とする。
戸後鉄道3000形電車(共通事項) | |
---|---|
基本情報 | |
製造所 | 戸後鉄道車両部 |
主要諸元 | |
軌間 | 1,067(狭軌)mm |
電気方式 |
直流1,500V (架空電車線方式) |
最高運転速度 | 100km/h |
全長 | 18,900mm |
制御方式 | 抵抗制御・直並列組合せ・弱め界磁 |
制御装置 |
電磁直通弁式電磁直通空気ブレーキ 直通予備ブレーキ |
保安装置 |
自動列車停止装置(戸後形ATS) 列車無線 |
概要
宮田線および傾山線には諸木ケ原駅以北に20m級の車両が走行できない区間が存在したために、20m車の2000形増備車の導入は見送られており、依然旧性能の1000形が用いられていた。しかし1961年に東賀本線計画が発表され、同線の輸送力増強が喫緊の課題となったことから、山岳区間にも対応できる高性能車両として計画された。
車体を大型化しつつ山岳区間で走行できるような寸法にするため、戸後鉄道の自社製造車両では初となる18.9m級車体を採用した。また1000形や2000形は旧型車両からの機器流用車や他社からの譲渡車、戦災復旧車など数多くが改造を受けており仕様の統一がなされていなかったが、この3000形は当初から新規製造となり、1000形や2000形で試用された技術を本格的に採用した。
構造
特記のない場合、3000形の量産車についての解説としている。
概要
1965年に2両編成2本が戸後鉄道車両部で製造された。初期コストと保守コストを当時の旅客輸送量に見合うように最適化した設計とされ、また将来的な東賀本線での使用も想定されたことから、車体、各種機器ともに気動車に通ずる合理性を追求したつくりとなっているのが特長で、最短2両編成から1両単位で車両を増やすことが可能である。
車体
戸後鉄道の自社開発車両では初めて18.9m長の大型の車体を採用した。車体は直線を基調とし先頭車中央部には貫通扉を設けており、編成中間に組み込んだ時にも通り抜けが出来るように配慮されている。材質は普通鋼製で、登場時の車体の色は従来と同じ緑色系の塗装に塗り分けられた。
車内設備
すべての座席でロングシートを採用、生地の色は水色(登場時は紺色)である。車内は薄い橙色の暖色系でまとめられている。天井には扇風機が備え付けられている。客用ドアは戸後鉄道では初の両開き扉を採用し輸送力の増大に備えた。1車両につき片側3つの扉を備える。
走行設備
2000形で試用されたいわゆるMM'ユニット方式では、各種機器を2両に分散して搭載することで軽量化を実現していた。しかし、一方でこの方式は動力車の数が増えることは保守の増大を招き、編成内の車両数の調整も2両単位でしか行えないなどの問題点が露呈していた。2000形の導入実績がない傾山線地区の整備部門にMM'ユニットを導入するのはハードルが高すぎることから、本系列では動力車1両に必要な各種機器を搭載し、モーターを搭載しない付随車を組み込むという設計に変更した。
車軸への動力の伝達方式は、2000系増備車に引き続き直角カルダン駆動方式が採用された。台車はいずれも枕ばねに空気ばねを採用し、車体支持方式はインダイレクトマウント式で電動台車がKH-59B、付随台車がKH-72Aを採用した。基礎ブレーキ装置はディスクブレーキを採用し、ブレーキローターが車輪の外側に装着されている。通常ではブレーキローターは車輪内側に装着されるが、当時の1,067mm軌間用の電動台車ではバックゲージが十分でなく、外付けにせざるを得ないためであった。以降戸後鉄道や傾山電鉄、東賀鉄道に至るまで直角カルダン車はこのタイプの台車を採用してゆくことになる。
保安装置
登場当初は搭載していなかったものの、1969年の戸後鉄国府川線列車衝突脱線事故を機に自動列車停止装置が設置されている。
形式
クハ3000形
制御車。西結向きの先頭車として連結される。
モハ3100形
電動車。うち制御電動車は傾山向きの先頭車として連結される。
新造車
試作車
1965年に2両編成2本が戸後鉄道車両部で製造された。初期コストを抑えるため、1000形で試用された前面方向幕の導入は見送られ、従来の車両と同じサボによる掲示方式をとった。また尾灯は円形のものを採用している。
登場当初は新機軸の技術を導入したことから故障が絶えなかったため、約半年間は営業運転に就くことができず、翌1966年4月になってようやく2編成が傾山線で営業を開始した。
← 傾山 西結 → |
落成年 | 運用離脱年 | ||
パンタ配置 | ◇ | |||
形式 | モハ3100 | クハ3000 | ||
区分 | cM | Tc | ||
車両番号 | 3101 | 3001 | 1965年 | |
3102 | 3002 |
量産車(戸後鉄道生産分)
試作車の投入結果を考慮し、量産車として1967年から製造されたグループである。乗務員からサボの取り付け作業よりも新機材の操作を覚えるほうが簡単であるとの声があったことから、試作車では省略された前面方向幕を本採用した。また編成識別のため前面の左上には車両番号が記載された。
このほか、尾灯が丸形から四角型のものに変更されている。
← 傾山 西結 → |
落成年 | 運用離脱年 | |||
パンタ配置 | ◇ | ◇ | |||
形式 | モハ3100 | モハ3100 | クハ3000 | ||
区分 | cM | M | Tc | ||
車両番号 | 3103 | 3104 | 3003 | 1967年 | |
3105 | 3106 | 3004 | |||
3107 | 3108 | 3005 | 1968年 | ||
3109 | 3110 | 3006 | 1970年 | ||
3111 | 3112 | 3007 | |||
3113 | 3114 | 3008 | |||
3115 | 3116 | 3009 | 1971年 |
3020形
量産車は全車が3両編成で製造されたため、増結に使用できる2両編成として量産車と並行して製造された。車体仕様は量産車に準じている。
← 傾山 西結 → |
落成年 | 運用離脱年 | ||
パンタ配置 | ◇ | |||
形式 | モハ3100 | クハ3000 | ||
区分 | cM | Tc | ||
車両番号 | 3121 | 3021 | 1967年 | |
3122 | 3022 | |||
3123 | 3023 | 1969年 | ||
3124 | 3024 | |||
3125 | 3025 | 1972年 | ||
3126 | 3026 | |||
3127 | 3027 | 1974年 |
3128編成
1974年に3020形3128編成として、戸後鉄道初のアルミニウム合金車体試作車が登場した。3000形の中でもアルミ車体は3128および3028のみを製造しており、他の普通鋼製車両と連結されて活躍する。続く傾山電鉄による3000形増備車での本採用には至らなかったが、この車両を基にして後の東賀4000系・1210系がアルミ製の車体で製造された。車体重量は軽量性に優れるアルミ素材を用いた結果、普通鋼製の3000形に比べて約4.5tの軽量化実現に成功する。銀色のみでは風景と同化し易いため、目立つ色を配置して車両接近時における視覚伝達の機能を兼ね備えたデザインとする。屋根上のベンチレーターも、他の車両で搭載したグローブ型とは異なってガーランド型を採用している。
← 傾山 西結 → |
落成年 | 運用離脱年 | ||
パンタ配置 | ◇ | |||
形式 | モハ3100 | クハ3000 | ||
区分 | cM | Tc | ||
車両番号 | 3128 | 3028 | 1974年 |
量産車(傾山電鉄生産分)
戸後鉄道分社化後、継承先の傾山電鉄で引き続き製造されたグループである。張り上げ屋根を採用せずに普通車体で製造され、残存していた1000形を置き換えた。
分社化により戸後鉄道車両部が改組されたことから、全車春乃町車両の鉢崎工場での製造となっている。
3151編成以降は3020形との重複を避けるため飛び番号として50番台が付与されているが、仕様上の差異はない。
1980年製の3153編成・3155編成は、製造時から新塗装を纏っている。
← 傾山 西結 → |
落成年 | 運用離脱年 | |||
パンタ配置 | ◇ | ◇ | |||
形式 | モハ3100 | モハ3100 | クハ3000 | ||
区分 | cM | M | Tc | ||
車両番号 | 3117 | 3118 | 3010 | 1977年 | |
3119 | 3120 | 3011 | |||
3151 | 3152 | 3012 | 1978年 | ||
3153 | 3154 | 3013 | 1980年 | ||
3155 | 3156 | 3014 |
運用
新製当初は諸木ケ原検車区に配置され、傾山線で運用されたが、3020形登場以降は一部の1000形を置き換え宮田線でも営業を開始した。
1976年4月の戸後鉄道分社化時には全車が東賀鉄道・傾山電鉄に承継されたが、当初は傾山電鉄のみに継承される予定であった。同年1月に東賀鉄道の設立が決定し鉢崎検車区が設置されると、3月31日付けで東賀鉄道継承車は同区へ転属した。