「瀬田3000系電車」の版間の差分

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'''瀬田電気鉄道3000系電車'''(せたでんきてつどう3000けいでんしゃ)は、2009年11月25日に営業運転を開始した[[瀬田電鉄|瀬田電気鉄道]]の試作型通勤形電車である。ここでは、量産更新車である'''3100系電車'''についても記述する。
'''瀬田電気鉄道3000系電車'''(せたでんきてつどう3000けいでんしゃ)は、かつて在籍した[[瀬田電鉄|瀬田電気鉄道]]の試作型通勤形電車である。ここでは、量産更新車である'''3100系電車'''についても記述する。
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==概要==
==概要==
[[瀬田電気鉄道瀬田本線|瀬田本線]]の線形改良及び一部高架化により高速運転が可能になったことから、その試験車両として2008年11月に試作編成1本が瀬田車両にて製造された。従来の台車を流用せず、完全新規の台車を採用するなど、野心的な設計のもと製造されている。
瀬田電気鉄道の新しいフラッグシップとなるべく、新技術の投入と既存技術の融合を図って開発された車両である。デビュー時のキャッチコピーは「'''ミライの電車、先取りしました。'''」


来たるべき新型通勤型車両(2200系および3500系)の高速運用を見据え、設計上の最高速度は130km/hに設定された。しかしこの試作編成は実際の通常運用を行いながら試運転をするという異例の試験方法を行ったため、乗客の安全のために瀬田電鉄線内での最高速度は120km/hまで制限されている。
[[瀬田電気鉄道瀬田本線|瀬田本線]]の線形改良及び一部高架化により高速運転が可能になったことから、「高速運転による所要時間の短縮」・「最新機器の搭載による省エネルギー化」の2点に焦点を絞り、開発が進められた。当初から営業運転を行う試作車という位置付けであり、2200系のような大量配備は行われる予定がなかった。
 
2008年11月に試作編成3本(3099F・3096F・3090F)が瀬田車両にて落成<ref>瀬田電鉄、新車両3000系公開!【次世代の顔、内部に迫る】 西洋経済ONLINE</ref>。報道公開の後、三ヶ月ほど瀬田本線で試運転が続けられていた。また数週間ではあったが、乗客を乗せての営業運転も担っていた。
 
しかし、当初求められていたほどの省エネルギー化は達成できなかったこと、また最高速度や起動加速度の引き上げのみでは所要時間の短縮には繋がらなかったこともあり、量産車の製造は中止されることとなった。
 
その後次世代型通勤型車両のテストベッドとして試運転が再開され、3500系や2200系の導入決定に伴う機器調整には役立ったものの、営業運転にはほぼ就くことはなかった。
 
そんな中、2014年に新型車両2200系の2次車導入に伴い、機器統一がなされ運転方法も簡易な3100系に完全に入れ替えられることとなり、3000系3編成も先頭車を入れ替えて塗装変更・機器変更することで、3100系の仕様とほぼ同じ規格に統一される改修工事が行われ、3190番台として3100系列に組み込まれることとなった。これをもって3000系列は完全に消滅した。
 
突然の量産車製造中止の裏にはSRのS233系の配備であったとも噂されており、車体などの多くの共通点がある同形式<ref>2形式とも瀬田車両製造による設計・製造である</ref>の本格導入を嫌がったのではないか、という通説も流布されていた。しかし瀬田電鉄社長は2019年の記者会見において、「そのような事実はない」と否定している<ref>瀬田電社長「3000系は様々な理由により不採用」SR車関連の噂を否定 Ahoo!ニュース(2019年8月2日)</ref>。
 
=== 車体 ===
基本的には2200系列と共通の部材を使用したステンレス製である。先頭車前面は繊維強化プラスチック (FRP) 製で、運転室から見て右側にオフセット配置された非常用貫通扉を有する。形状は2000系列と異なる特徴的なくさび形とされた。前照灯と尾灯は1500系や2200系に似た、窓下に横長のものが配置されている。
 
車体配色は2000系列までの車両とは異なり、前面と側面窓上から屋根にかけて赤を配しており、色調も紅色(カーマイン)やマルーンに近いものとなっている。側面にはなぜか橙色が配されている。床面高さはレール面から1,130mmであり、レール面から1,100mmのプラットホームとの段差を低減している。
 
冷房装置は能力61.05kW (52,500kcal/h) の集中式を屋根上に1基搭載する。装置内の電熱ヒーターおよびヒートポンプ式冷凍サイクルを活用した冬期の暖房や除湿も可能としている。
 
前面と側面の種別・行先表示器はフルカラーLED式である。本系列では瀬田電鉄の採用車両としては初めて行先表示器もフルカラー式となった。ドア用車側灯のカバーの色は従来の車両の赤から無色透明となり、太陽光の散乱などによる誤認を防いでいる。


実際のところ、瀬田本線以外は瀬田電鉄線内に限ってもカーブなど直線が続かない区間が多々あり、実際の試験運用では当初の予定の半分以下の結果しか出すことができなかった。これは線形の原因の他に3000系の加速性能の不十分さが問題であったといわれている。
実際のところ、瀬田本線以外は瀬田電鉄線内に限ってもカーブなど直線が続かない区間が多々あり、実際の試験運用では当初の予定の半分以下の結果しか出すことができなかった。これは線形の原因の他に3000系の加速性能の不十分さが問題であったといわれている。


3000系の加速性能では、持ち前の最高速度の高さを生かす前に停車駅の為の減速をかけなければならないため、実質的に他の車両での運用とほぼ時間は変わらず、所要時間の短縮には至らなかった。そのため社内ではこれ以上の高速運用は不可能と判断され、3000系は次世代型通勤車両のテストベッドとされることとなった。<br>
3000系の加速性能では、持ち前の最高速度の高さを生かす前に停車駅の為の減速をかけなければならないため、実質的に他の車両での運用とほぼ時間は変わらず、所要時間の短縮には至らなかった。そのため社内ではこれ以上の高速運用は不可能と判断され、3000系は次世代型通勤車両のテストベッドとされることとなった。<br>
しかし製造元の瀬田車両では3000系試作編成の運用データを独自に解析し、それを基に加速性能の底上げを図った'''3050形'''を試作していた。この3050形は1編成が試作されたのち試運転を行わないまま[[水音車両]]に持ち込まれることとなり、試作剛体データおよび先頭形状、高速運転向け車両機器のデータ解析が行われたのち、後述の3100系が3000系の正式採用版として運用されることとなる。尚、[[瀬田車両製造]]では、この3000系をベースとした量産向け通勤車両'''2700形'''を独自に開発し、府舘地方のいくつかの鉄道へと納入している。現在も2700形は生産が続けられているが、3100系などに転用されたデータなどは使用されておらず、あくまでも独自に開発されたものであるとされる。
しかし製造元の瀬田車両では3000系試作編成の運用データを独自に解析し、それを基に加速性能の底上げを図った'''3050形'''を試作していた。この3050形は1編成が試作されたのち試運転を行わないまま[[水音車両]]に持ち込まれることとなり、試作剛体データおよび先頭形状、高速運転向け車両機器のデータ解析が行われたのち、後述の3100系が3000系の正式採用版として運用されることとなる。尚、[[瀬田車両製造]]では、この3000系をベースとした量産向け通勤車両'''2700形'''を独自に開発し、府舘地方のいくつかの鉄道へと納入している。現在も2700形は生産が続けられているが、3100系などに転用されたデータなどは使用されておらず、あくまでも独自に開発されたものであるとされる。
次世代型通勤型車両のテストベッドとして試運転が再開され、更に3編成を新造して大量のデータを収集し、3500系や2200系の瀬田電鉄用機器調整には役立ったものの、その設備の複雑さから運転手からも不評を買い、運用区間は常に一定せず、一カ月ごとにほかの車両基地を転々と渡り歩くという異例の運用が続いていた。そんな中、2014年に新型車両2200系の2次車導入に伴い、機器統一がなされ運転方法も簡易な3100系に完全に入れ替えられることとなり、3000系3編成も先頭車を入れ替えて塗装変更・機器変更することで、3100系の仕様とほぼ同じ規格に統一される改修工事が行われ、3190番台として3100系列に組み込まれることとなった。これをもって3000系列は完全に消滅している。


==設備==
==設備==
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=== 概要 ===
=== 概要 ===
3000系の剛体と運用データを基に水音車両にて製造された新製車であり、瀬田電鉄では2200系以来の新車導入である。ベースとなった3000系に基づいて拡幅車体は採用されず、編成の定員は減っているものの、拡幅車体では乗り入れられなかった地下線などの乗り入れを想定した設計となっている。2200系の後期車同様に当初から臨海鉄道への乗り入れに対応するが、投入時期が重なったことと、独自に投入準備を進めていた特急専用車の導入が間に合わなかったこともあり、関南地区の4社直通開始に合わせ、一次車は全車両が瀬田本線系統へと投入された。<br>
実質的な3000系の量産化失敗を受け、瀬田電鉄が水音車両に発注し製造・投入された新系列である。既に基礎設計が固まっており、運用会社側がカスタマイズして使用するのが一般的な箱日本における鉄道車両としては珍しく<ref>運用者と製造所が同一資本の場合を除く。(例:[[水音鉄道の鉄道車両|水音鉄道]]) 瀬田車両も同様である。</ref>、基礎設計から瀬田電鉄専用にカスタムされた車両である<ref>ベース車が存在しない車両の例として、[[倉急電鉄20000系電車]]などがあるが、採用例は稀である。</ref><ref>瀬田電鉄における水音車両製車輌はいずれも水音標準シリーズ(1700:A、2600:B)がベース車であった。</ref>。
試作編成は湾岸線カラー(紫と赤のグラデーション)が採用された配色であったが、量産更新車の導入前に瀬田電鉄では新塗装の統一色が採用されたため、量産更新車はすべて2200系および2600系と同様のカラーリングとなった。将来的な増結、上位種別への配当などを踏まえ、編成の組み合わせを変更することによって瀬田電鉄では初めてとなる8両固定編成にも対応する。
 
3000系の剛体と運用データを基に水音車両にて製造され、瀬田電鉄では2200系以来の新車導入となった。ベースとなった3000系に基づいて拡幅車体は採用されず、編成の定員は減っているものの、拡幅車体では乗り入れられなかった地下線および直通先の西京メトロなどの乗り入れを想定した設計となっている。2200系の後期車同様に当初から臨海鉄道への乗り入れに対応するが、投入時期が重なったことと、独自に投入準備を進めていた特急専用車の導入が間に合わなかったこともあり、関南地区の4社直通開始に合わせ、一次車は全車両が瀬田本線系統へと投入された。
 
6両編成が基本だが、将来的な増結、上位種別への配当などを踏まえ、8両固定編成の組成にも対応しており、将来的な8連化も想定した納入が行われている。事実、2度目の追加投入時は8両編成2本が瀬田本線向けに投入された。
 
試作編成は湾岸線カラー(紫と赤のグラデーション)が採用された配色であったが、量産更新車の導入前に瀬田電鉄では新塗装の統一色が採用されたため、量産更新車はすべて2200系および2600系と同様のカラーリングとなった。また前述の通り、旧3000系もこの3100系同様の設備へと更新する改修が水音車両にて施された上で、試作編成として試運転されていたほか、正式導入時には量産車とともに瀬田本線へと配備されている。


一次車は6両固定編成が合計で4編成配備され、投入当初は箱重方面の急行として専用運用されていた。
一次車は6両固定編成が合計で4編成配備され、投入当初は箱重方面の急行として専用運用されていた。
=== 設備 ===
=== 設備 ===
[[ファイル:2020-02-20 13.20.05.png|サムネイル|車内の画像。]]
3000系のシート配置を受け継ぎ、ドア横のロングシート以外はクロスシートを採用するセミクロスシート方式を採用。主に倉急線、及びその先の砥田開発鉄道線、常総急行線での優等種別としての運行を考慮し、長時間に渡る着席でも乗客の疲労が極力たまりにくいように設計されている。また、3000系にも採用されなかった車内トイレを備える。<br>
3000系のシート配置を受け継ぎ、ドア横のロングシート以外はクロスシートを採用するセミクロスシート方式を採用。主に倉急線、及びその先の砥田開発鉄道線、常総急行線での優等種別としての運行を考慮し、長時間に渡る着席でも乗客の疲労が極力たまりにくいように設計されている。また、3000系にも採用されなかった車内トイレを備える。<br>
運転台は2200系、および2600系と共通化することで運転士への負担を減らす設計となっているほか、3000系の高速運行のフィードバックから、路線によっては常用130 km/hの運行も可能である。
運転台は2200系、および2600系と共通化することで運転士への負担を減らす設計となっているほか、3000系の高速運行のフィードバックから、路線によっては常用130 km/hの運行も可能である。

2024年9月14日 (土) 21:59時点における最新版

瀬田電気鉄道3000系電車(せたでんきてつどう3000けいでんしゃ)は、かつて在籍した瀬田電気鉄道の試作型通勤形電車である。ここでは、量産更新車である3100系電車についても記述する。

瀬田3000系電車
3000系基本編成
(2010年6月10日 瀬田駅)
基本情報
運用者 瀬田電鉄
製造所 瀬田車両
製造年 2008年
運用開始 2009年11月25日
投入先 瀬田本線
主要諸元
編成 基本6両
MT比2:3)
軌間 1,067 mm
電気方式 直流 1,500 V
(架空電車線方式)
最高運転速度 120 km/h
設計最高速度 135 km/h
編成定員 基本編成 - 1,200名
車体 ステンレス
台車 WDT57
編成出力 2,240 kW(基本編成 - 4M6T)
1,120 kW(付属編成 - 2M3T)
制御方式 VVVFインバータ制御
(IGBT素子)
制動装置 回生ブレーキ併用電気指令式ブレーキ
全電気ブレーキ
抑速ブレーキ
保安装置 関南ATS-P
西京ATO(一部)
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概要

瀬田電気鉄道の新しいフラッグシップとなるべく、新技術の投入と既存技術の融合を図って開発された車両である。デビュー時のキャッチコピーは「ミライの電車、先取りしました。

瀬田本線の線形改良及び一部高架化により高速運転が可能になったことから、「高速運転による所要時間の短縮」・「最新機器の搭載による省エネルギー化」の2点に焦点を絞り、開発が進められた。当初から営業運転を行う試作車という位置付けであり、2200系のような大量配備は行われる予定がなかった。

2008年11月に試作編成3本(3099F・3096F・3090F)が瀬田車両にて落成[1]。報道公開の後、三ヶ月ほど瀬田本線で試運転が続けられていた。また数週間ではあったが、乗客を乗せての営業運転も担っていた。

しかし、当初求められていたほどの省エネルギー化は達成できなかったこと、また最高速度や起動加速度の引き上げのみでは所要時間の短縮には繋がらなかったこともあり、量産車の製造は中止されることとなった。

その後次世代型通勤型車両のテストベッドとして試運転が再開され、3500系や2200系の導入決定に伴う機器調整には役立ったものの、営業運転にはほぼ就くことはなかった。

そんな中、2014年に新型車両2200系の2次車導入に伴い、機器統一がなされ運転方法も簡易な3100系に完全に入れ替えられることとなり、3000系3編成も先頭車を入れ替えて塗装変更・機器変更することで、3100系の仕様とほぼ同じ規格に統一される改修工事が行われ、3190番台として3100系列に組み込まれることとなった。これをもって3000系列は完全に消滅した。

突然の量産車製造中止の裏にはSRのS233系の配備であったとも噂されており、車体などの多くの共通点がある同形式[2]の本格導入を嫌がったのではないか、という通説も流布されていた。しかし瀬田電鉄社長は2019年の記者会見において、「そのような事実はない」と否定している[3]

車体

基本的には2200系列と共通の部材を使用したステンレス製である。先頭車前面は繊維強化プラスチック (FRP) 製で、運転室から見て右側にオフセット配置された非常用貫通扉を有する。形状は2000系列と異なる特徴的なくさび形とされた。前照灯と尾灯は1500系や2200系に似た、窓下に横長のものが配置されている。

車体配色は2000系列までの車両とは異なり、前面と側面窓上から屋根にかけて赤を配しており、色調も紅色(カーマイン)やマルーンに近いものとなっている。側面にはなぜか橙色が配されている。床面高さはレール面から1,130mmであり、レール面から1,100mmのプラットホームとの段差を低減している。

冷房装置は能力61.05kW (52,500kcal/h) の集中式を屋根上に1基搭載する。装置内の電熱ヒーターおよびヒートポンプ式冷凍サイクルを活用した冬期の暖房や除湿も可能としている。

前面と側面の種別・行先表示器はフルカラーLED式である。本系列では瀬田電鉄の採用車両としては初めて行先表示器もフルカラー式となった。ドア用車側灯のカバーの色は従来の車両の赤から無色透明となり、太陽光の散乱などによる誤認を防いでいる。

実際のところ、瀬田本線以外は瀬田電鉄線内に限ってもカーブなど直線が続かない区間が多々あり、実際の試験運用では当初の予定の半分以下の結果しか出すことができなかった。これは線形の原因の他に3000系の加速性能の不十分さが問題であったといわれている。

3000系の加速性能では、持ち前の最高速度の高さを生かす前に停車駅の為の減速をかけなければならないため、実質的に他の車両での運用とほぼ時間は変わらず、所要時間の短縮には至らなかった。そのため社内ではこれ以上の高速運用は不可能と判断され、3000系は次世代型通勤車両のテストベッドとされることとなった。

しかし製造元の瀬田車両では3000系試作編成の運用データを独自に解析し、それを基に加速性能の底上げを図った3050形を試作していた。この3050形は1編成が試作されたのち試運転を行わないまま水音車両に持ち込まれることとなり、試作剛体データおよび先頭形状、高速運転向け車両機器のデータ解析が行われたのち、後述の3100系が3000系の正式採用版として運用されることとなる。尚、瀬田車両製造では、この3000系をベースとした量産向け通勤車両2700形を独自に開発し、府舘地方のいくつかの鉄道へと納入している。現在も2700形は生産が続けられているが、3100系などに転用されたデータなどは使用されておらず、あくまでも独自に開発されたものであるとされる。

設備

新型の軽量剛体を基に製造されており、その形状は東急6000系に酷似している。内装は瀬田電鉄では初となる一部クロスシートを採用し、長距離運用での快適性を向上させている。ただし後継の車両には装備されていないことから、瀬田本線などではより人員の運べるロングシートが優先された可能性がある。1500系等とは違って拡幅車体は採用されておらず、編成定員も1,115人へと減少している。

試作型車両らしく当時としては最先端のフルHD画質のLCDをドア両側に装備し、運行情報の明確化に貢献している。

3100系

瀬田電気鉄道3100系電車(せたでんきてつどう3100けいでんしゃ)は、2013年3月15日に営業運転を開始した瀬田電気鉄道の通勤形電車である。 3000系の剛体と運用データを基に水音車両にて製造されている。

瀬田3100系電車
3100系基本編成
(2014年4月9日 中ノ橋駅)
基本情報
運用者 瀬田電鉄
製造所 水音車両
製造年 2012年 -
運用開始 2013年3月15日
投入先 瀬田本線,湾岸線
主要諸元
編成定員 基本編成 - 1,200名
保安装置 関南ATS-P
西京・臨海ATO(一部)
テンプレートを表示

概要

実質的な3000系の量産化失敗を受け、瀬田電鉄が水音車両に発注し製造・投入された新系列である。既に基礎設計が固まっており、運用会社側がカスタマイズして使用するのが一般的な箱日本における鉄道車両としては珍しく[4]、基礎設計から瀬田電鉄専用にカスタムされた車両である[5][6]

3000系の剛体と運用データを基に水音車両にて製造され、瀬田電鉄では2200系以来の新車導入となった。ベースとなった3000系に基づいて拡幅車体は採用されず、編成の定員は減っているものの、拡幅車体では乗り入れられなかった地下線および直通先の西京メトロなどの乗り入れを想定した設計となっている。2200系の後期車同様に当初から臨海鉄道への乗り入れに対応するが、投入時期が重なったことと、独自に投入準備を進めていた特急専用車の導入が間に合わなかったこともあり、関南地区の4社直通開始に合わせ、一次車は全車両が瀬田本線系統へと投入された。

6両編成が基本だが、将来的な増結、上位種別への配当などを踏まえ、8両固定編成の組成にも対応しており、将来的な8連化も想定した納入が行われている。事実、2度目の追加投入時は8両編成2本が瀬田本線向けに投入された。

試作編成は湾岸線カラー(紫と赤のグラデーション)が採用された配色であったが、量産更新車の導入前に瀬田電鉄では新塗装の統一色が採用されたため、量産更新車はすべて2200系および2600系と同様のカラーリングとなった。また前述の通り、旧3000系もこの3100系同様の設備へと更新する改修が水音車両にて施された上で、試作編成として試運転されていたほか、正式導入時には量産車とともに瀬田本線へと配備されている。

一次車は6両固定編成が合計で4編成配備され、投入当初は箱重方面の急行として専用運用されていた。

設備

車内の画像。

3000系のシート配置を受け継ぎ、ドア横のロングシート以外はクロスシートを採用するセミクロスシート方式を採用。主に倉急線、及びその先の砥田開発鉄道線、常総急行線での優等種別としての運行を考慮し、長時間に渡る着席でも乗客の疲労が極力たまりにくいように設計されている。また、3000系にも採用されなかった車内トイレを備える。
運転台は2200系、および2600系と共通化することで運転士への負担を減らす設計となっているほか、3000系の高速運行のフィードバックから、路線によっては常用130 km/hの運行も可能である。

  1. 瀬田電鉄、新車両3000系公開!【次世代の顔、内部に迫る】 西洋経済ONLINE
  2. 2形式とも瀬田車両製造による設計・製造である
  3. 瀬田電社長「3000系は様々な理由により不採用」SR車関連の噂を否定 Ahoo!ニュース(2019年8月2日)
  4. 運用者と製造所が同一資本の場合を除く。(例:水音鉄道) 瀬田車両も同様である。
  5. ベース車が存在しない車両の例として、倉急電鉄20000系電車などがあるが、採用例は稀である。
  6. 瀬田電鉄における水音車両製車輌はいずれも水音標準シリーズ(1700:A、2600:B)がベース車であった。